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ラリーモンゴリア2012 「ラリー編」①

〇DAY0 初日

4時間半のフライトの後、チンギスハーン国際空港に到着。
乾いた肌寒いほこりっぽい空気。ホテルまでの移動の際の穴ぼこだらけの舗装路。ダート道にさっそくカルチャーショック。
1時間ほど、バスにゆられて、ようやくホテル着。

さっそく夕食。
ハンバーグのようなひき肉料理に、ライスとちょっとした野菜がついている。
はじめての国の食事は不安だったけど、なかなかおいしい。

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落ち着いたところで、ホテルのSSERスタッフに円を現地の通貨「ツグルグ」に替えてもらう。
年によって、参加者が殺到するため、空港で両替ができなくなってしまうこともあるようですが、今年はSSERのスタッフが「1万円分、2万円分」と準備してくれていたので、特に問題はありませんでした。

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レートは、だいたい、100Tg≒6.6円。
現実に流通する単位としては、100円≒1501Tg
ホテルでビールやコーラを買うと、2500~3000tgなので、実際に使うのは、1000や2000のお札が多い。
ガソリンは、リッターあたり1570tgぐらいなので、最大で、1日30Lガソリンを入れるとして、7日間で210L。
1570tg×210=329,700tgで、だいたい22,000円くらい?
その他買い物をすることもふくめて、30,000円ほどツグリグに両替。

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単位が大きいので、日本円でいくら?と計算するのにちょっととまどうが、「ミサイルファクトリー」の小川さんが教えてくれた計算方法。

「0を一つとって、6掛け」1500tgなら、150×0.6=90円くらい?となる。
レートによっても違うようだが、おおむねこの金額で価値は分かるので、とっても便利。

お札の量がすごいので、財布はパンパン。

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いろいろカルチャーショックの初日。



■ モンゴルのホテル食事事情

ホテルで出てくる食事は、朝はソーセージとたまご料理。
昼はこんなスープに麺がはいっているもの。

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そのあとに、こんなメインディッシュが、「ドカっと」でてきます。

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このホテルだけか、モンゴル全般かはわからないですが、夜と朝は比較的控えめに。
昼はたっぷり食べる。という習慣のような気がしました。
また、テーブルには、胡椒や香辛料がよくのっていて、これをたっぷりふりかけるとさらにおいしくなります。

全日程を通して、日本人好みの味で、あまり海外慣れしていない日本人が食生活に困ることはないんでは?と思います。



〇 DAY0 2、3日目

今日はバイクを積んだコンテナが届く。ということで、朝からホテルの周りをうろうろ。
ホテルは、市外から10KM前後離れた郊外の「ハンリムリゾートホテル」。
市内にあると思ったので、けっこうな郊外感?にちょっととまどう。

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通関に時間がかかっていて、コンテナが届くのは早くても昼。とのことなので、ウランバートル市内に買い物に行く人達。周辺を散歩する人たちと、いろいろ。
自分は、パリダカ連続出場の「鉄人」菅原義正会長と、JRMの高橋さん、篠塚健次郎選手のナビを務める千葉さんと、目の前の山の登山。

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この日はお天気もよく、最高に気持ちのよい山歩きができました。

・・・・・・ですが、肝心のコンテナが来ない!
SSERのスタッフに聞いても、午前中に来る、午後イチ、いや今日中には・・・。となんとも歯切れが悪い。
あとで聞いた話では、通関に時間がかかり、この日の午後ぐらいまでかかったとか。
今回のラリーでは、「カルネ」を使って、「必ずこの車両は持ち帰ります」という約束をして持ち込んでいるので関税がかからない。のですが、近年は「ラリー」という名前で車両を持ちこんで、モンゴルで売って、関税も払わず国を去る。という手口が横行しているそうで、関税の事務局もかなり厳しくなっているそうです。

ただ、「ウチは20年以上これをやっているのに、なんで信用してくれないのかな?!」というスタッフの嘆きが、「きちんとやっている」人たちが必ずしもいい結果を得ることのできない不条理を覚えるとともに、それでもこのラリーを続けているSSERという組織の頑張りを実感する出来事でした。


で、夕方。ようやくコンテナ到着。

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2か月ぶりにバイクとご対面です。

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■シッピング事情

この「ハンリムリゾート」は、市内からかなり離れているため、一番近いガソリンスタンドまでも5.6キロあります。
「シッピング時には、ガソリンをすべて抜いておくこと」という項目があったのですが、スタンドへいくまでの若干のガソリンは、タンクに残しておきました。
例年ですと、それでスタンドへ行くぐらいなら行けるはずらしいのですが、今回は、ほとんどのマシンから完全にガソリンが抜かれていました。
やむを得ず、少しでもガソリンの残っている4輪にジェリ缶を渡して、ガスを買ってきてもらう・・・・。なんてことが必要でした。
これは注意してもどうしようもないことなんですが、対策を練れるのであれば、検討しておいたほうが良いかも知れません。

また、コンテナの中はかなり高温になるようで、不調になる車両もあるようです。
私のGSも、リヤホイールドライブのオイルが、漏れていて、「すわ!シールがダメになった?」と一時大騒ぎをしました。
結局、問題は無かったんですが、オイルシールの欠損等を起こす車体もあるとのことでした。



翌日は、マシン整備。

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ミーティング。

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一日降り続いた豪雨のあとに、現れた夕焼けをみながら、明日のスタートに思いをはせます。

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■ ラリーモンゴリアの宿泊、交通、保険事情

往復の航空券、スタート、ゴール前後のホテルの手配は、旅行会社がやってくれます。
個人で手配される方もいるみたいですが、車検やスタートをするホテルに宿泊したほうが便利ですし、モンゴル人と日本人の案内も付きますので、モンゴルがはじめての人でも安心です。
料金は、往復航空券+宿泊費で、出発空港によって違いますが、¥15万~18万円。

レースの際の備品の紛失、けが、捜索費用等が負担できる「ラリー保険」も、5万円~8万円前後で加入できますから入っておいた方がよいです。
こちらも、SSERで手配はしませんが、旅行会社へのコンタクトのお手伝いはしてくれます。

 
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ラリーモンゴリア2012「ラリー編」 ②

〇 DAy1

いよいよスタート。
この時のために、長い期間準備をしてきたと思うと、緊張から震えが来ます。
体調も昨日からなんとなくすぐれず、朝食もほとんど食べることができませんでした。

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主催者から「ランチパック」とペットボトルの水をもらい、キャメルバックに移して、荷物を背負う。

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エマージェンシーキット、メディカルキット、イリヂウム携帯電話等、レギュレーションに示されたもののほか、このランチパック、キャメルバックを背負うとちょっとした重量になります。


今日は、予定では439.27KMのリエゾン(移動区間)を走り、253.29KMのタイム測定区間「SS(スペシャルステージ)」を含むバヤンホンゴルまでの692.56KMの予定だったのですが、途中の標高の高いルートが、氷結(!)してしまっているため、SSは行わず、移動のみとなりましたが、それでも総距離は657KMもあるので、決して楽な一日ではなさそうです。

ゼッケン1番。
モンゴルのボルドバートル選手を先頭に1分おきにスタート。

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今日の持ち時間は11時間。
自分のスタート時間は8時11分なので、PM7時11分までが持ち時間。
SSER山田代表に「舗装路は穴だらけなので気を付けて」。と声を掛けられ、ハンドサインでスタート!

ようやく「ラリーレイドモンゴル」が始まりました。


■ モンゴルの道路事情

モンゴルには、国の中央を貫く2本の国道があり、舗装されている道はここしかありません。
これを東西に移動して、だいたいのところで国道を外れ、北か南のピストを使って、目的地を目指す。というのが、一般的。

ただ、その舗装路も、穴だらけ。

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かなり大きな穴や、路面の波打ちもあるので、なかなか気が抜けません。



439.27KMのリエゾンは、舗装路の移動が続く。
途中、2車線のハイウェイもあり、お天気もよく、最高のモンゴルツーリングを楽しめました。

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ただ、昨日ガソリンを入れに行った時から気になっていたのですが、吹き上がりがとにかく遅い。
低速もスカスカで、ある程度スピードをあげないと、なかなか回転が乗らない。
今日は移動のみだから、キャンプについたら、キャブを見てみよう・・・。とこのときは思っていました。

何か所かで給油と、ICO(距離計)の調整をしながら、概ね予定通りのPM2時頃。CP(チェックポイント)にたどり着く。

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ここまでは、進行を指示する「コマ図」に従ってきたのですが、これからは、スタート前に知らされたビバークのGPSポイントを目指して自分でルートを切り開いて進まなければなりません。

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CPから、20KMほど進んだところで、ルートは未舗装路に。
コマ図がないので、ルートを選べるといっても、「ピスト」は無数にあり、どれを選ぶかはあみだくじ。
ルートによっては、大きなクレバスで進めなくなったり、川渡りに失敗して、水没したエントラントもいたとのこと。

自分は、今回のビバーク地に向かって伸びる「道路」がGPSに表示されている。との情報を他のエントラントから聞いて、そのルートをトレースすることによって、ルートを確立することができました。

基本的にGPSに入っている道というのは、おまけみたいなものなので、相当立派な道でなければ表示されることはない。
で、「表示されている立派な」道がこれ。

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日本人の目には、とても「道」には見えませんが、こちらではれっきとした本ルート。
すさまじいダート道をセダンタイプの乗用車や、古めかしいロシアンジープ。巨大なタンクローリーが走り抜けていきます。
日本では、いつもダートを求めている我々だが、彼らにはダートこそが日常なんだな。と思う。


ダートに入ってからは雨も降りだし、エンジンの調子は、どんどん悪くなっていく。
最終的には雷も鳴りだし、激しい豪雨となってきました。

結局、ゴールについたのは、PM6:40ごろ。
けっこうぎりぎりのタイム。
パンクやトラブルがあったら、間に合わなかったかもしれません。

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この日は、時間ピッタリにゴールすることが求められる「オンタイム制」だったため、時間ちょうどにゴールすることになっています。
モンゴルは、夜の9時ぐらいまで明るいため、午後7時ゴールでも、十分明るい。

なんとか初日はペナルティなしで生き残ることができました。
その後も豪雨は続き、初日の疲れもあり、エンジンを見ることはしませんでした。
今思えば、無理をしてでも、ここで整備をしておくべきでした・・・・。


今回は、「ゲル」に泊まる申し込みをしていたので、温かいゲルと食事でくつろげる・・・。はずだったのだが、本部ヘリが悪天候のため、到着していない。
指示系統が混乱し、食事の供給がない。
着替えやパーツを積んだトラックも途中で立ち往生しているとのことで、届いていません。

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濡れたウェアを脱ぐこともできず、急激に下がった気温のなか、ゲル内で震えることしかできない。
ゴールすれば、着替えがあることをあてにして、雨具を着ないで走ったエントラントは、低体温症の一歩手前になるくらい危ない状況。

なにも持っていないので、やむをえず、コマ図をマップホルダーからひっぺがして、敷物にして、横になります。

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結局、食事の供給があったのは、AM12時すぎ。
荷物が届いたのは、AM2時すぎ。

ようやく着替えて、眠れた後も、突風と豪雨は続き、生きた心地がしませんでした。

このラリーは、走ることだけじゃなく、ゴール後の過ごし方も過酷なんだな・・・。なんて思いながら眠りにつきました。




■ モンゴルのガソリン事情

モンゴルのガソリンは、オクタン価によって、3種類あります。
概ね、

A80 : 日本のレギュラーガソリンよりもオクタン価が低い。ラリーマシンにいれるのはちょっと危険。

A92 : 日本のレギュラーよりちょっと上、ハイオクよりちょっと下。って感じのオクタン価

A95 : 概ね日本のハイオクくらい?

ほとんどのエントラントはA92を入れていて、それで問題はなかったよう。

金額は、リッターあたり、1480tg~1600tgくらい。
日本円でリッター100円くらいが相場。

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スタンドの人は、簡単な英語も通じないが、給油の機械はきちんとしたものがどんな奥地にもあるので、ほしいガソリンの種類を指さして、機械が示した金額を払えばOK。

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セルフ式ではなく、店員さんがやってくれますが、タンクが左右に分かれている場合や、給油方法が特殊な場合は、給油ノズルを使わせてもらって、自分でやるとよい。
ほとんどのスタンドでは、やらせてもらえました。



 

ラリーモンゴリア2012「ラリー編」③

○ DAY2の1

翌日は、昨日の荒天がなかったかのような青空。

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準備に、朝食にと、スタート前のあわただしい時間は過ぎていきます。

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昨日の混乱により、今日のコースは大幅に変更。

SS370.94KMを行い、その後、CAP走行のリエゾンで100KMほど移動。
ビバーク位置、1時間の休憩、給油を義務付けられるRCP(レストコントロール)が長雨により、「水浸し」のため、移動となりました。

スタート時間は、AM11:00。長距離を走るラリーとしては、かなり遅めの時間ですが、スタート。

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スタート直後は、ハイスピードのピスト。
昨日から続けているように、「前が見えないところはきっちり減速、ジャンプしない」。を心がけ、サスペンションをいたわる走りに徹します。

CPまでは快調そのもの。朝のミーティング時に言われていたナビゲーションの難しい箇所もノーミスで抜け、CPに問題なく到着。
GPSを見ると、かなり慎重に走っていたつもりでしたが、平均速度は60KM前後。
これなら、日の暮れる前になんとかゴールできるはず。

その後、谷間を抜け、コマ図上に「DRY UPエリア」と書かれているところに。
コマ図を作ったときは、「ドライレイク」だったようですが、いたるところに水たまりやマディ、湿地のような箇所が広がっていました。

相変わらずエンジンの吹きあがりが悪いため、一度回転を落とすと、一気に失速するので、ピスト上の泥にはまるたび、スタンディングで回転を合わせつつ、ペースを維持するような走り方をしていきました。

そんなことをしていたエリアのまんなかあたり。タイミングを合わせるのを完全に間違え、泥の上で回転を急に上げてしまったようで、いきなりフロントからすっ飛ばされました。
100KMは出ていなかったとは思うが、80~90KMくらいは出ていたよう。

人間は前に飛ばされ、マシンは横向きに回転しているのが、視界に。
地面に激突したときは、プロテクターが衝撃を吸収してくれている様子がゆっくりわかるくらい冷静で、頭の中では、「ありゃ、やっちまった。体は大丈夫だけどここでマシン壊すと、あとあと大変だなあ・・・。」なんてのんびり考える余裕。

しばらく地面に横たわったまま、ぼーっとしていたが、体を起こし、振り返ってマシンをみると愕然。

フロントカウルは固定部が砕けて外れ、マップホルダーステーは曲がり、部品やGPSが、あちこちに「ちらばって」いました。
シリンダーを軸に回転したため、コマのように車体が回り、あちこちに部品をまき散らしたようでした。

せっかく日本で直したスピードメーターもこんなありさま。

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「うわ、よく生きてたなあ」。とぞっとする。
ただ、体はどこも痛くない。
プロテクターの重要性を改めて実感。

ナビ回りの部品を「拾い集め」、針金とタイラップで仮に設置。

で、出発しようとすると、ガソリンがキャブから漏れています。
なんだ?と覗き込むと、左キャブレターのフロートチャンバーのケースがない!
ケースを固定するクランプは外れないように、ワイヤリングすることを勧められていたのだが、川渡りで水没したとき、外すのが面倒だな・・・・。としていなかったため、転倒した際に吹っ飛んでしまったよう。

あわててコックをOFFにして、あたりを探しまわります。

ケースは見つかったのですが、泥に埋まってしまったようで、パッキンが見つからない。

さんざんあたりを探しまわって、なんとか発見。
キャブ内部も泥だらけでかなりまずい状態ですが、部品をきれいにするパーツクリーナー缶なんかもっていないので、できるだけウェスでふき取って、いいことじゃないことはわかっていますが、針金でジェットの穴を掃除。

フロートは無事だったようなので、オーバーフローもしていないことを確認して、走り出す。

吹けなかったエンジンはさらに吹かなくなり、最高速度はついに50KMくらいしか出なくなります。
なんとか、RCPまでたどり着き、1時間の休息の間になんとか修理しよう。とだましだまし走ります。

RCPにたどり着くまでは、コマ図に「TRIAL!」なんて書いてあるくらい、上がったり下がったりが激しい道が続き、しかも、ひょう、雨がまた降り出し、赤土の路面を濡らし、低速のない車体では、走るのが大変。

おまけに、一度ミスコースした際に、硬い草。「キャメルグラス」に乗り上げてしまい、脱出まで悪戦苦闘。

一度のミスをきっかけに、ボディーブローのように、少しづつ人間と車体の体力がうばわれていくかのような100KM。
ようやく、RCPにたどり着いたときは、マシンを直す体力もなく、ランチパックを口にするのが、せいいいっぱいの状態でした。

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ラリーモンゴリア2012「ラリー編」④

○ DAY2の2

義務付けられた1時間の休息と、給油をすませ、再び走り出します。
すでに、夕闇がせまり、周囲は薄暗くなっていく。

RCPでSSERのスタッフから、「この先のドライレイクは、湿地帯になってしまっていて、何台もの車両が埋まってしまっているため、重量車は抜けるのはほぼ無理。左方向にう回路があるはずだから、そっちへいきなさい。」

と注意を受けます。

5KMほど走りますが、マップと実際の景観が全く違う。
OVOOもないし、「看板」も見当たりません。
あとで聞いた話では、かなりの箇所で、雨と増水で目標物が流されてしまったとのこと。

概ねCAP(コンパスの示す方向)はあっているので、それをあてに走ります。
しばらく走ると、4輪車。ジムニーが追いついてきたので、4輪なら、ナビゲーターもいることだし、方向はあっているだろう。とついていく。

しばらくついていくと、ますますエンジンの調子が悪くなり、今度は、チャージランプもチカチカ点灯し始めた。
大きなピストに出たところで、もう、ハラをくくって修理するしかないや。と決めてて、ジムニーにお礼を言って、先に行ってもらう。

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まずは、チャージランプ。
GSは充電していない場合でも、300KMくらいは、なんとか走る・・・。なんて記事を読んだことがあったので、このままでもいけるかな?と思っていたのだが、ランプの点き方が尋常じゃなかったので、いきなり走れなくなるよりは。とチェックを始める。
充電しない一番の原因は、レクチファイア(オルタネーターボード)ではあるが、これはシッピング前に交換してあったので、ありえない。では、ヒューズか、他の電装部品か?とヘッドランプであちこち照らしながら原因を探る。

誰も周りにいない荒野に一人取り残されるのは、初めての体験。
まっくらなので、冗談ではなく、自分の手さえ見えない。
谷間にでもいるのかと思ったら、どうやら360°まっ平らな荒野にいるよう。暗いと、闇が壁のように感じられるのも始めての経験。
音がまったくしない。という感覚も初めて経験しました。


作業を始めてしばらくすると、まったく音のしないはずの闇夜から「・・・ゥウウ」という不気味な声。

やばい!野犬だ!と思うとともに、昼間、ゲルの脇を通ると、野獣のように追いかけてきて、脚にかみつこうとする獰猛な真黒で巨大なモンゴル犬の姿を思い出す。
飼われている犬ですらああなんだから、野犬だったら、どれだけ獰猛か。
広いところだから、ゲルがあれば光が見えるのに、見えないってことは、野犬に間違いない!これはやばい。

息をこらして、ヘッドランプをつけた頭を振りまわすと、光る目。

そっちへむかってゆっくり歩み寄り、「このあたり!」とオフロードブーツで思いっきり蹴りつけた。
あきらかに何かに当たった「グッ」っ的な音がして、唸り声は消えました。


・・・結局なんだったのかはわからないが、とりあえず危険は回避したようなので、作業再開。
結局レクチファイアではなく、バッテリーの端子と、配線の一部が振動で断線しかけていたのが原因のようでした。
きちんとつないでやると、チャージランプは消灯。

キャブは暗闇ではどうしようもないし、下手にばらして部品をなくしてしまったら、今度こそ完全に走行不能になるので、ケースだけ外して、清掃。とりあえず走れる状態に戻します。

そんなことをやっているうちに、ジムニーで参加のNO106。橋本さん/モンゴル人ナビゲーター、オギさん組が通りかかりました。
橋本さんとは、ホテルで同室だったこともあり、色々教えていただいた経緯もあって、顔見知りになっていました。

例の湿地帯を回避するルートを探しながら走っているから、一緒に行こう。
と言っていただき、しばらくジムニーの後ろを走ります。
ただ、暗闇でパワーのないバイクなので、しょっちゅう転ぶ。そのつど戻ってきていただき、フォローしてくれる。
申し訳ないので、今度は前を走るが、やっぱり路面が悪くなると転倒を繰り返してしまう。

結局足手まといになるので、先に行ってくれ。と何度言っても、お二方は「こんなところに置いて行くわけにはいかない」。とずっとフォローを続けてくれました。

目標のGPSポイントまで、あと30KMくらいになったところで、さっきの「キャメルグラス」が延々続くルートになり、4輪はなんとか走れるが、パワーのない現在のGSでは、ほとんど走れないところに差し掛かってしまいました。

これ以上足をひっぱるのは申し訳ないので、ホントに先に行ってください。とお願いして、自分はここでビバークすることにします。
暖かいお茶の入ったポットと、サイリューム(発光体)、いくつかの食料を手渡してくれ、彼らは先に行ってくれました。

さて。とエンジンを止め、空を見上げる。
光がまったくないので「とんでもない」星空が広がっていた。
しかも、地平線から金星を加えこんだ下弦の月が上がってくる。という生まれて初めてみる天体ショウが展開されていました。

実際は、すごく大きく見えたんですが、コンデジでは、これが限界。P8140110.jpg

天の川はきらきらと「波打ち」流れ星もすごい。願い事かけ放題。

なんとか写真を撮れないか。とカメラを空に向けて、ぶれないように、セルフタイマーをかけて撮影してみたが、あとで見たら写っていませんでした。
星空は、やっぱりリアルに見るしかないらしいです・・・。

気温も思ったほど低くなく、エマージェンシーブラケットを広げることもなく、眠れそう。

落ち着いたところで、イリヂウム携帯で大会本部に連絡を入れ、ゼッケンNOと、GPSポイント。今日はここでビバークする旨伝える。
例の湿地帯で埋まっていて、ゴールしていない車両がまだ何台かいることと、明日のステージの路面もかなりひどい状態らしいので、おそらくキャンセルになる。ということを伝えられる。
つまり、最悪、あさっての朝のスタートに間に合えば、リタイヤにならないということで、一安心。


周辺何十キロ、誰一人いない荒野でビバークという、はたから見るとけっこうシリアスなピンチ状態なのですが、そんな緊迫感や、パニック感はまったく感じませんでした。

10代のころから、サン・デクジュベリの「夜間飛行」、上温湯隆の「サハラに死す」。その他パリダカでリタイヤした人たちの紀行文なんかを読み漁っていたので、こういう経験も、それなりに身近に思っていたので、それなりに(?)楽しく感じることができました。
今は彼らの時代と違って、GPSで自分の所在地はわかるし、いざとなれば、助けに来てくれる「ラリー」というシステムの中にいるので、シリアスさの度合も比ではありませんが・・・。

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星空を見るのもいい加減あきたので、ランチパックの残りの魚肉ソーセージをかじり、ビスケットを口にして、水を少し飲み、寝ることに。

先ほどのように野犬が来る心配もあったし、野生の狼も、モンゴルはまだいるという話も聞いていた。
モンゴルに来てから聞いた話では、「オオカミは、まず、首を狙うんだ。だから寝ている時も首さえガードしておけばやられることはない。」なんて話を、嘘かほんとか聞いていたので、ネックブレイス(首のプロテクター)は、外さずに寝ることにしました。

寝つくまで、退屈なので、スマートフォンに入っている音楽をかける。
シャッフルの設定にしてあったので、ランダムに曲がかかるはずなのだが、なぜかかかるのは、「Perfume」の曲ばかり。

「ワンルームディスコ」の歌詞が、なんとなく、今の自分の状況を歌っているようでした。



なんだって すくなめ
半分の生活
だけど 荷物は おもい
気分は かるい

窓をあけても
見慣れない 風景
ちょっとおちつかない けれど
そのうち楽しくなるでしょ

新しい場所で うまくやっていけるかな
部屋を片付けて 買い物に出かけよ
遠い空の向こう キミは何を思うの?
たぶん できるはずって 思わなきゃしょうがない・・・・。



キーの高い彼女たちの声が、無人の荒野に吸い込まれていくのは、なんとなくおかしい。
モンゴルの荒野で、Perfumeを聞いてビバークするのは、おそらく自分が最初で最後だろうなあ。なんて考えながら、眠りにつきました。
 

ラリーモンゴリア2012「ラリー編」⑤

○ DAY2の3

寝るときは、それほど下がらなかった気温も、夜明け前にはかなり冷え込んできたため、朝方にはエマージェンシーブラケットを出しました。

朝になると、まさに360度なにもないところに、ぽつん。と一人いることがわかり、「広さをさえぎってくれる」ものが、なにもない空間に放り出されていることが認識でき、夜には感じなかった心細さが襲ってきます。
人間はなにかに包まれていないと不安になるもの。それが、布1枚のテントでもいいし、闇夜でもいい。と身をもって理解することができました。

改めて、壁、天井のある「家」というものが人間にどれだけの安心感を与えてくれるのか。ということを改めて感じます。

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リアル地平線から昇ってくる太陽を見ていると、本当に太陽は足の下に入って、足の下から出てくるんだ。ということを視認できました。

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真横から太陽の光があたってくるので、光でしばらくは地面が見えず、光が安定したところで、GPSの矢印を見ながら走りだす。
最初はキャメルグラスに悪戦苦闘しながらの走行だったが、しばらく走ると、概ね距離のあっているピストに合流し、SSのフィニッシュにたどり着くことができました。
最後尾かと思ったら、まだ何台か、未着の車両があるとのことで、自分の知っている限りの情報を伝えて、ビバークへ向かいます。

ビバークは、ここから60KMほどとのことで、GPSのみで移動。
経由地の「ボグト」という街へまずは向かうのだが、GPSポイントが近づいても、ちっとも街らしくならない。
GPSポイントは、草原のど真ん中・・・・。
悪い時には、悪いことが重なるようで、GPSポイントの数値を間違えて打ちこんでいた!

それでも、GPSを確認してみると、幸運にも、ビバークはここから直行で10KMほど。
転換点を修正して、ビバークへ向かう。

11時頃、ようやくビバーク到着。長い一日だった・・・・。



ビバークに到着すると、夜明かしした自分を皆が心配してくれ、いろいろ手伝ってくれた。
かなりよく寝たとはいえ、やはり疲労はしていたようで、ゲルに入ると、しばらく寝てしまった。
このまま、翌日のスタートまで寝ていられるかといえば、自分は、メカニックを連れてきていないので、昨日の走行で傷んだマシンの修復を自分で行わなければいけないので、そうもいかない。

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日差しが弱くなる夕方になってから作業開始。
ナビ回りの修復、キャブレターの清掃、電装の修復、転倒した際に「バカ」になってしまったハンドルの固定し直し、ワイヤー関係の交換等。
改めて見てみると、転倒の影響は、あちこちに及んでおり、トップスピードの高いラリーというのは一回の転倒でどれだけのダメージを受けるのかということを改めて認識します。
おまけに、整備を終えて、エンジンをかけてみると、オイルフィルターのパッキンからオイルが吹き出しているのが見つかる。
ここも、フィルターは交換してもらい、パッキンも新品にしてもらったところ。
改めて整備したところがことごとくトラブルの火種になっていることを皮肉に感じつつも、エントラントのみなさんに手伝ってもらい、なんとか修復完了。

明日のコースも大幅な変更があるとのことで、コマ図の書きなおし、GPSポイントの打ち直し等を行い、ようやく寝られたのはAM1時すぎ。
とりあえず、明日はスタートできます。

 
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